私は、めんどくさいことが苦手である。
今まで、こんなことあまりなかったのに、と愚痴がでる。
朝から尿もれで、おとんは、全身ずくずくだ。
防水シーツもカバーも意味がない。
おとんの足元で、丸まっているのだから。
先週20日に、2度目の転倒。
顔面と、ろっ骨骨折である。
ろっ骨骨折は、咳をしただけで、体に痛みがはしる。
おとんは、動くことを止めた。
私も、経験があるから痛みはわかる。
だからと言って、寝ていては、おとんも布団も綺麗にならないのだ。
この話は、アルツハイマーのおとんと嫁の私の戦いである。

「負けるが勝ち」
私「おとん起きようか?起きて欲しい」
おとんは、仰向けから壁のある右側をむく。
父「いたたたた・・痛い、なんでこんなに痛いねん」
父「痛いから起きられへん」
私「おとん痛いよね、」
「けどね、濡れてるから着がえてほしいの」
父「大丈夫や、そのうち乾く」
私「おとん、服も布団も洗濯したいの、お願いします」
おとんは、寝たままズボンに手をかける。
私「いやいや、待って、起きるの手伝うから、脱ぐの待って」
私は、おとんを起こそうと肩にふれる。
おとんは、仰向けに戻り私の顔じっと見る。
父「いたたた・・あんな、そんなことよりなぁ、たばこをおくれ」
私「へっ?」
父「たばこをくれと言うてるんや」
おとんは、枕もとにあった着がえを床に落とす。
私「おとん、濡れてるんだよ?先に着がえて」
父「い~や~だ~。たばこおくれ~た・ば・こ~」
おとんは、びしょ濡れのまま足をバタバタさせる。
父「この人でなし~たばこくれ~」
私は、おとんから視線をはずす。
大きく息を吐き、
私「パンツが先だよ、パンツ、パンツーーー」
父「たばこ~♪たばこ~♪ほれ、た・ば・こ~♪」
リズムをつけながら歌い出す。
スイッチ・オンのおとんに、何を言ったって通じない。
私は、煮えくり返るまえに、おとんから離れる。
おとんに、常識は通じないし、説明しても理解出来ない。
私が、心配していること何て、一生伝わらない。
思いは、すれ違うばかりだ。
けれど、やらなければいけないときがある。
私は、強行手段にでる。
再び、おとんの所へ戻った。
私「おとん、起こします」
父「えっ?」
私は、おとんの右肩、それと左膝に手をかける。
(折れてる右ろっ骨に圧をかけないように)
テコの原理で、おとんの体を、そろりと起こした。
父「いでーーーーくっ、クソおんな、ころされる~」
父「どっかいけ~、いで~クソおんな」
私「おとん、ごめんなさい、痛かったよね、悪い女です」
おとんは、浅い呼吸をくり返しながら「いで~いで~(痛い)
クソおんな」を連呼する。
私「ごめんなさい。痛いよね。がんばってくれてありがとう」
父「いいよ、いいよ。ありがとう」
この後、なにごともなかったように、おとんは穏やかだ。
私が、強行手段をとっても、最後はかならず「いいよ、いいよ」と許してくれる。
必ずどうしても、やらなければいけないときがある。
やった後、共感とひたすら謝ることで怒りはおさまるのだ。
アルツハイマーのいいところである。
おしまい。
ここまで、読んでいただきありがとうございます。

いつもありがとう🌷
(折れてる右ろっ骨に圧をかけないように)
テコの原理で、おとんの体を、そろりと起こした。
父「いでーーーーくっ、クソおんな、ころされる~」
父「どっかいけ~、いで~クソおんな」
私「おとん、ごめんなさい、痛かったよね、悪い女です」
おとんは、浅い呼吸をくり返しながら「いで~いで~(痛い)
クソおんな」を連呼する。
私「ごめんなさい。痛いよね。がんばってくれてありがとう」
父「いいよ、いいよ。ありがとう」
この後、なにごともなかったように、おとんは穏やかだ。
私が、強行手段をとっても、最後はかならず「いいよ、いいよ」と許してくれる。
必ずどうしても、やらなければいけないときがある。
やった後、共感とひたすら謝ることで怒りはおさまるのだ。
アルツハイマーのいいところである。
おしまい。
ここまで、読んでいただきありがとうございます。

いつもありがとう🌷
<つぶやき>
北海道で、手負いのクマには近づくな、と言われてる。
病気やケガしてると、動物も人間も機嫌が悪くなるよね。
相手に、手当てしていることが伝わらないから
介助する人も辛くなる。
ヘタレな私は、父との戦い10日間で、
体重が5キロ減りました。
早く治らないかな?
(^_^)/せばね~
いつか、ではなく今報われたい🌷
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最終更新日 : 2023-02-19